起立性調節障害
- 朝起きられずに学校に間に合わない
- 朝起きて支度していると具合が悪くなる
- 夕方は元気なのに朝になると体調が悪くなる
- 午前中は頭痛やめまい、吐き気を訴える
- イライラやうつ病の様な情緒不安定な状態
小学生、中学生、高校生の長期欠席や不登校の原因の4割が起立性調節障害の症状が切っ掛けと言われています。学年が上がるごとに症状は悪化傾向にあり、原因を改善しないと引きこもり、ニート、うつ病などの引き金となる可能性が高い疾患で深刻な社会問題となっている。
起立性調節障害とは何か
起立性調節調節障害とは自律神経の働きが悪くなったことで血流が悪くなり、脳が血流不足を起こしたことによって様々な症状を引き起こされる疾患です。小学生、中学生、高校生の不登校の切っ掛けの4割は起立性調節障害という医学的統計があります。
また、問題なのは起立性調節障害は朝起きられないけど夜は元気になってテレビやゲームに夢中になっているなどの症状もある事から、『仮病』『怠け病』『無気力』などと思われてしまいます。
保護者は『身体の問題』では無く『気持ちの問題』と捉えてしまう事から適切な病院で検査することが少ないために、起立性調節障害であっても起立性調節障害の診断を受けていない子供も少なくありません。
その様な子供を含めれば、不登校の切っ掛けの7割は起立性調節障害なのではないかといった文献もあるくらいです。不登校の6割以上を占める『無気力』『不安感』などは起立性調節障害の典型的な症状の一つと言えます。
起立性調節障害の主な症状
(身体的症状)
朝起きられないが午後になると元気になる 立ち上るとめまいや頭痛 午前中は体調が優れない 長時間立っているとめまいや失神 睡眠障害 乗り物酔い 肩こり 頭痛 腰痛 関節の痛み 耳鳴り 吐き気 動悸 疲れやすい 腹痛 倦怠感
(精神的症状)
無気力 不安感 イライラ うつ症状 パニック 落ち着きがない 集中力低下 癇癪
自律神経の機能低下は何故起こるか
自律神経の働きが悪くなる原因は、精神的なストレスであるとの認識が一般的かと思います。当然、イジメや虐待などの強い精神的ストレスは自律神経の働きを低下させる原因になります。しかし、現代西洋医学では自律神経機能が低下するなどの明確なメカニズムが判明していない疾患や症状は全て精神的なストレスを原因にする事が問題にもなっています。
精神的なストレスと聞くと下記にあげた項目を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
イジメ・虐待
イジメや虐待などは上記に記載した通り、自律神経機能が低下する原因となります。そして、自律神経機能が低下した結果、起立性調節障害だだけでなく、様々な症状、病気となる可能性があります。
友人関係・教師との関係
友人や教師に学校で嫌な事を言われる事は誰にでもある事です。しかし、その程度の精神的なストレスで本当に自律神経機能が低下するのでしょうか?もちろん、極端に繊細な子であれば同じ言葉を言われてとしても受ける精神的なストレスは大きく、自律神経機能を低下させる切っ掛けになるかもしれません。
しかし、多くは自律神経機能が低下している状態だから精神的なストレスを受けやすくなっている、精神的なストレスを解消しにくくなっているのです。要は自律神経機能が低下していれば10のストレスを15に感じてしまうという事です。
そして、自律神経が正常ならば10のストレスは1週間後には解消されるのが、自律神経が低下している状態だと1週間経過いても13のストレスが残ってしまいます。それが日々積み重なる事で元々、低下していた自律神経がますます低下していくことになります。
子供も大人も体調が優れなければ気弱になったり、情緒不安定になったりと精神的に弱くなる事は明白です。ですから、友人関係、教師との関係でもまず先に自律神経が低下した状態だから精神的なストレスを受けやすくなっている子供もいるという事です。
自律神経が低下する原因は身体的な問題
精神的なストレスが原因で自律神経に問題が出る事はありますが、上記に記載した通り、多くの場合は先に自律神経の機能低下が起こり、その結果として精神的ストレスを受けやすい、抜けにくい状態になってしまっているのです。
その様な状態の場合は精神的ストレスが何だったかを探るよりも先に自律神経機能が低下した原因を探り、改善させる事が最優先となります。
自律神経機能が低下する原因は背骨のバランスが悪くなっている事で、自律神経の通り道が悪くなったり、神経圧迫や神経に牽引ストレスが加わる事で徐々に神経の働きが悪くなるというパターンが多くみられます。
<背骨のバランスが悪い=背骨の歪み=姿勢が悪い>
起立性調節障害を始めとする自律神経機能が低下している子供達の共通点は姿勢が悪いという事です。例外はありませんし、少なくとも姿勢が良くて自律神経機能が低下している子供を私は見た事がありません。
この様に自律神経機能が低下していれば体調は優れず、精神的なストレスを受けやすく、尚且つ解消しづらい状態となり、ますます自律神経機能は低下していくことになります。まさに悪循環と言える状態に陥ります。
要するに、自律神経機能の低下は精神的な問題よりも身体的な問題が先にあり、最優先で改善させなければならないのは姿勢であり、背骨の歪みになります。よって、起立性調節障害を根本的に改善するには姿勢を改善させるという事になります。
病院は西洋医学
病院の殆どは西洋医学的な診かたで患者さん、病気を見ます。もちろん、それが一番重要なのは言うまでもないかと思います。しかし、西洋医学は万能ではありません。
西洋医学が得意とする分野は感染症や急性的な病気、怪我から命を救う、症状を抑える対症療法などが挙げられます。
逆に慢性的な疾患は苦手としている事が少なくありません。特に自律神経が起因する様な病気や症状はその代表とも言えます。
自律神経機能が低下しても西洋医学的な検査では異常は無いとされます。血液検査や画像検査で自律神経は検査できないのです。
そうなると、異常なしの診断、精神的な問題、心の病気などにされ、決して治る事のない対症療法的な薬を処方されるだけになります。そして、症状が軽減しなければ薬の量や種類を増やされるだけの処置になります。
統合医療的な見方が必要
西洋医学が苦手とする分野は統合医療的な見方が大切になります。統合医療とは西洋医学を基礎に東洋医学、カイロ、オステオパシーなどの代替医療と言われる医療の優れた考え方、見方、検査法、施術法を取り入れています。
日本は医師会、保険制度など複雑な問題があり、統合医療に関しては後進国となってしまっているので馴染みが無いかもしれませんが、先進国を見てみると統合医療は常識となっています。世界保健機構も統合医療を推進しています。
日本は健康予防、健康増進意識が低く寿命は長いが健康寿命は短い、自殺者が多い(自殺者3万人の半分は健康問題)などの問題はここにあるのかもしれません。
話が少しそれましたが、起立性調節障害や自律神経等の症状、疾患は統合医療的に見る必要があるという事です。病院の先生に『姿勢が悪いから自律神経機能が低下しますか??』と聞いても関係ないと言われるだけですが、それは西洋医学的には関係ないだけで、統合医療的に見れば大いに関係があります。と言うより、原因そのものの場合が少なくありません。
起立性調節障害の分類
起立性調節障害は西洋医学的に下記の分類に分かれます。
起立直後性低血圧
起立性調節障害の中で最も多いタイプで、立ち上った直後に脳への血流が悪くなり強いめまいを起こします。頻脈を伴う事もあります。
体位性頻脈症候群
立ち上った時など身体の体位を変えた時に低血圧、めまい等は起こさないが頻脈となり症状を引き起こします。
神経調節性失神
立っている時に低血圧となり、冷や汗や顔色が悪くなり最終的には失神してしまいます。
遅延性起立性低血圧
起立後から徐々に血圧が下がり始めてめまいなどの症状を引き起こします。
上記の分類は病態や症状の出方、症状が引き起こす時間などが異なっていますが、大元の原因は、自律神経の機能が低下した事によって引き起こされます。
起立性調節障害の一般的な治療
薬
起立性調節障害と診断された場合、まず最初に昇圧剤が処方されます。要するに、血圧を上げる薬です。本来であれば、自律神経の働きで血圧はコントロールされますが起立性調節障害ではそのコントロールが効かなくなっている状態なので薬でコントロールしようとします。
次に向精神薬です。自律神経機能の働きが低下した原因は精神的なストレスと判断して向精神薬で心をコントロールする事で自律神経の働きを正常に戻そうといった考えです。
カウンセリング
自律神経機能の低下した原因は精神的なストレスであると判断された場合にカウンセリングで心の安定させようとします。本当に精神的ストレスが原因ならば有効です。
日常生活指導
『規則正しい生活』『運動してください』『精神的ストレスを掛けない生活』『水をたくさん飲んでください』などの日常生活のアドバイスをされます。もちろん大切な事ですがそもそも、起立性調節障害は規則正しい生活が出来ない、運動が出来ない、ストレスを受けやすい事が問題なので指導されても症状が軽減してこなければ現実には難しいと思います。
その他代替医療やサプリメント
病院での治療では効果がないために、漢方薬、針、お灸などの東洋医学で体質改善を試みて根本改善させようとする人は少なくありません。しかし、起立性調節障害の多くは背骨のバランスが悪いために神経の働きが悪くなっている事が多いので期待する効果は得られないのが現実です。
サプリメントに関しては全く意味ありません。サプリメントは栄養補給です。起立性調節障害は栄養不足によって引き起こされるのではありません。起立性調節障害に効く特定の栄養素など有りません。
上記の様な治療法が一般的に良く行われている治療ですが、これらは全て対症療法になります。根本的に治すのではなく症状を軽減させる、感じにくくさせる為の治療になります。また上記の中には軽減させる事もない治療や悪化させる治療もありますので注意が必要です。
ただし、イジメや虐待などの強いストレスによって自律神経機能が低下した結果の起立性調節障害の治療としてのカウンセリングは対症療法とは言えません。